子どもの尊厳を守るための取組について
(1) 就学前児童への虐待防止対策
【 大 石 】
児童虐待の中で、とりわけ深刻なのが小学校入学前の子どもへの虐待であり、身体や言語能力が未熟なことから、自分から
周囲の大人に助けを求めることも、虐待の場から逃げ出すことも困難であること、周囲の目がなかなか行き届かず、発見が
遅れることで重大な結果に至るリスクが指摘されている。
子どもの健やかな成長に計り知れない影響を与えるので虐待の防止は社会全体で取り組むべき重要な課題と考える。
県は、就学前の児童への虐待防止のためにどのように取り組んでいるのか。
答弁者【 森副知事 】
県では、まず乳幼児検診や親子教室などの機会を通じて児童の家庭を把握し、その上で、市町の職員に対して、具体的な事例を基に効果的な支援方法について話し合う実践的な研修を実施するなど、相談支援技術の向上に取り組んでいるところです。
地域で活動する民生委員・児童委員に対しましても、児童虐待に焦点を
当てた研修を実施し、児童虐待防止の意識をこれまで以上に高めていた
だきます。
そして、虐待の兆候を把握した際には、速やかに市町の相談窓口や児童
相談所に通告するよう働き掛けております。
昨年12月には、市町が主体となり、出産前から全ての妊婦・子育て家庭
に寄り添う「伴走型相談支援」が開催されております。
国と連携して予算的な助成を行うとともに、特に不安や悩みを抱える
妊産婦については、児童相談所が、必要に応じて面接相談や医療機関
への同行支援を行っています。
県立こども病院に医療機関向けの虐待相談窓口を設け、子どもの診察の際に虐待が疑われる事案については、子どもへの対応方法や児童相談所への通告等を各医療機関に協力を求めております。
県立こども病院を中核とした虐待の早期発見に向けた県内の医療機関ネットワーク構築を目指してまいります。
(2) 教育現場でのいじめ対策
【 大 石 】
「いじめ防止対策推進法」が制定され、いじめが現在の定義になって以降、過去最多である。
子ども一人ひとりの尊厳が守られる環境を築いていくため、県教育委員会としてのいじめ対策の取組状況と、
今後、どのように推進していくのかを伺う。
答弁者【 池上教育長 】
各学校では、いじめの早期発見に向けて、児童生徒が発する兆候を見逃さないための見守り、定期的ないじめアンケートや個別面談等に取り組むとともに、ネット上のいじめにも対応するよう、不適切な書込みを監視するネットパトロールを実施しております。
いじめに苦しむ児童生徒や保護者の支援のため、学校にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門家を活用した相談体制を整備するとともに、学校外の相談先として、「24時間子供SOSダイヤル」や県の健康福祉部と連携した「LINE相談」などを実施し、早期対応を図っております。
より多くの子どものSOSを受け止め、支援につなげていくためには、ICTの活用も有効と考えております。
一人一台配備された端末で困り事等を入力することにより、適切な相談窓口を表示できるシステムの構築に取り組むほか、教員が、児童生徒の心の変化を含めた健康状況等を把握しやすくするためのICTツールの活用を、市町教育委員会と連携し、推進してまいります。
人口減少社会に対応した取組について
(1) 社会インフラの老朽化対策
【 大 石 】
昨今急激に進行する人口減少社会において、経済規模の縮小による税収の減や建設分野の担い手不足も相まって、社会インフラの老朽化対策に支障を及ぼすことが懸念され、県民の安全・安心の確保や社会経済活動の基盤となる社会インフラの老朽化対策に、今後どのように取り組んでいくのか、県の所見を伺う。
答弁者【 川勝県知事 】
県では、事後保全型管理から予防保全型管理へと軸足を移した中長期管理計画を策定いたしまして、着実に補修等を実施してまいりました。
高度経済成長期に一斉に建設された社会インフラが大更新時代を迎えている中、老朽化対策を更に効率的に行わなければなりません。コストの縮減や実施時期の平準化はもとより、今後は、DⅩの積極的な活用が不可欠であります。
県といたしましては、社会インフラを確実に次世代に引き継ぎ、本県のインフラ文化として育むことができるように、計画的な取組を進め、安全で安心なふじのくにづくりに努めてまいります。
(2) 公共建築物の全体最適化に向けた取組
【 大 石 】
公共建築物の老朽化は全国共通の課題であり、県と市町で共有される課題も多いため、施設の共同利用や空きスペースの有効活用など、情報共有をしながら、県内自治体が保有する公共建築物の全体最適化を目指すべきであると考えている。
県では、県が所有する公共建築物について、現状をどのように認識し、県内の公共建築物の全体最適化に向けて、今後どのように進めていくのか伺う。
答弁者【 京極経営管理部長 】
将来の行政ニーズや維持管理費の見通し等を踏まえますと、県有施設総量の適切な管理が重要であることから、令和元年度から31年度までの30年間で総延床面積を15%削減することを目標に、最適化に努めております。
県全体での最適管理も重要でありますので、県と市町が連携して行政課題を検討する行政経営研究会に、市町の計画や未利用財産に関する情報を共有するとともに、施設利用における連携を進めているところであります。
県の富士総合庁舎の富士市への一部貸し付け、湖西市の施設への西部健康福祉センター浜名分庁舎の機能移転など、今後も引き続き、施設情報の共有や施設の共同利用などを推進し、県内公共建築物の全体最適化に取り組んでまいります。
安間川上流域の治水対策について
【 大 石 】
県は、安間川上流部のハード対策をどのように進めていくのか、また、安間川上流部で治水上のボトルネックとなっている万斛橋の架け替えに向けた検討状況について伺う。
答弁者【 勝又交通基盤部長 】
近年浸水被害が頻発している上流域につきましては、河川整備計画を変更し、万斛橋を含む区間を整備対象に加えて、河川改修を加速させてまいります。
万斛橋の架け替えにつきましては、下流域への流出増の影響を抑えるため、事前に実施が必要な下流側の対策などの検討を進めております。今後も、万斛橋の管理者である浜松市と連携し、早期の実施に向けて取り組んでまいります。
県といたしましては、安間川上流域における効果的な河川改修を着実に実施するとともに、浜松市や流域住民等と連携した流域治水を推進し、安全で安心して暮らせる地域づくりに努めてまいります。
野生鳥獣の捕獲体制の充実
【 大 石 】
今後、生態系への影響や農林業の被害を軽減し、生物多様性を確保するためには、安全かつ効果的に捕獲が実施できる新たな担い手の育成確保や、現場における捕獲技術の向上など野生鳥獣の捕獲体制の充実が必要と考えるが、
県の取組について伺う。
答弁者【 高畑くらし・環境部長 】
捕獲等を行う団体やグループの安全管理体制の構築や専門的な技能、知識の習得を支援することにより、管理捕獲を受託できる認定鳥獣捕獲等事業者の増加を促進し、担い手の拡充を進めてまいります。
捕獲技術の向上、継承のため、狩猟者の経験や技能に応じた研修を行い、鳥獣の痕跡の探し方や、わなの設置場所の選び方、安全かつ効率的な射撃技術等の習得を支援いたします。森林・林業研究センターで開発した人工餌場を用いたわな猟の普及や、生息場所を把握するためのドローンの活用など、新たな技術の導入も進めてまいります。
県といたしましては、担い手の確保、育成や、捕獲技術の向上、新技術の活用を、市町や県猟友会等と連携して着実に進め、野生鳥獣の捕獲体制の充実に取り組んでまいります。
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