1. パブリックコメントを利用した県民参画の促進について
【大 石】
厳しい財政環境が続く中、限られた人員と財源によって県民本位の政策を推進するためには、県政への県民の参画により、県政と行政との協働関係を構築することが必要である。
そのための手続きの一つとして、パブリックコメントがある。
本県でも、昨年度は77件実施されているが、意見が1件も寄せられなかった案件が全体の三分の一、26件もあったと聞いて驚いている。
このような状況では、パブリックコメントの制度そのものが「形骸化」して、存在価値を失いつつあるのではないかと危惧している。現状の認識と今後どのように改善していくのか。
【経営管理部長】
パブリックコメントを利用した県民参画の促進についてお答えいたします。
パブリックコメントは、計画案の段階で、誰でも自由に意見を提出できる手続きでありますことから、政策形成過程における県民参画の手法として、重要なものであり、昨年度実施した77件のうちには、一つの案件で100件以上もの意見が寄せられたものもありました。
一方で、パブリックコメントの資料として公表したものの中には、県民の皆様の生活にどのような影響があるのかを丁寧に示していないなど、分かりやすい資料を提供しようとする姿勢が必ずしも十分ではないと思われるものもありました。
このようなことを踏まえ、まず、現状と課題、予想される影響や効果、実施に伴う経費の概要等につきまして、より分かりやすい資料の公表が行われるよう各所属に対し積極的に指導してまいります。
また、パブリックコメント実施の周知につきましては、マスコミへの情報提供や、タウンミーティングなどの意見交換の場の活用を促すなど、効果的と考えられる手法を更に広めてまいります。
これらの取り組みを通じて、より多くの県民の皆様や関係者等の関心を喚起し、パブリックコメントへの意見を寄せやすい環境づくりを行い、政策形成過程への県民参画を促進してまいります。
【大 石】(再質問)
パブリックコメントを実施する案件の内容が専門的な場合には、県の内部で相互チェックを行うなどして、内容を分かりやすく、県民に意見を寄せてもらいたい部分に注目を集めてパブリックコメントができないか。
【経営管理部長】(答弁)
パブリックコメントの県民への説明資料について、お答えします。
議員から実例を指摘して頂きましたけれども、昨年度、寄せられた意見が0件であった全体の3分の1程度のパブリックコメントの中身を見てみますと、やはり内容が専門的にわたっていて、県民生活にどのような影響があるか、もしくはポイントが不明確というような実例がございました。
そもそもパブリックコメントの実施に当たっては、経営管理部が所管でございますが、その運用に当たっては、要綱等で様式等を定めまして、その中で、統一的な形式による発表をしているケースもございます。そうした様式等の点について、より分かりやすい形でパブリックコメントを実施するような工夫は我々もしていきたいし、各所属がパブリックコメントを行うときの指導・助言についても、議員がご指摘のような視点に立って、より多くの県民が意見を寄せやすい環境づくりに努めてまいりたいと思います。
2. LINEを活用した相談の拡充について
【大 石】
県は、今年度初めて、夏休み期間中に無料通信アプリのLINEを活用した相談を実施したと伺っている。
わずか10日間の実施期間にもかかわらず、726人から相談メッセージが送られ、丁寧に応対した結果、相談メッセージの7割近くには対応できなかったとの報告が出されている。
実際に相談に応じることができたのは3割にとどまったことは、大きな課題といえるのではないか。
そこで、県は若者の自殺防止を図るため、今後どのように無料通信アプリLINEを活用した相談の拡充を図っていくのか伺う。
【吉林副知事】
LINEを活用した相談の拡充についてお答えいたします。
本県の自殺者数は全体的に減少傾向にありまして、昨年は20年ぶり600人を下回る588人と、前年に比べまして14人減少いたしました。
しかしながら、19歳以下では18人と前年より5人増え、若年層の自殺対策が喫緊の課題となっております。
このため、今年度、新たに、若者が日常利用していますLINEを活用した相談を、自殺者が増える夏休明け前に実施することといたしました。
県教育委員会と企画段階から連携をいたしまて、県内の全高校生に啓発カードを配布するなど、周知徹底をしたところでございます。
その結果、昨年一年間の電話相談件数の8割に相当致します726人からメッセージが寄せられました。
中には自殺までを考えている相談を受けまして、深刻な事態に陥ることを回避した事例もございました。
若者の自殺対策としてLINEの活用は大変効果的であることが分かりました。
しかしながら、見込みを大きく上回る相談件数となりまして、全ての相談には応じることができませんでした。
このため、来年度に向けまして、県教育委員会と連携をし、年間を通じた実施など、相談体制の強化を検討してまいります。
また、当面の緊急対応といたしまして、春休み明け前後も自殺者が多いことから、来年3月にも相談員を増やした上でLINE相談を実施いたします。
今後も、若者にとって身近なSNSやインターネットなどICTを活用した自殺防止対策の充実を図り、関係部局が連携して、いつでも相談できる体制の整備に努めるなど、若者が自殺に追い込まれることのない社会の実現に取り組んでまいります。
【大 石】(再質問)
これから3月に向けて充実していっていただけるという御答弁でしたが、回答を残した70%の相談メッセージに対してどのように対応したか、答弁をお願いします。
【健康福祉部長】(答弁)
LINEを活用した相談の拡充についてのうち、相談に乗れなかった方に対してどういう対応をしたかという御質問でございました。
当初、300人の相談を見込みまして、相談員を2名配置したわけですけれども、実際にはそれを大きく超える726件の相談がございました。
その残りの対応できなかった方々に対しましては、若者を対象としました今年から始めました24時間電話相談、こちらの電話窓口の電話番号を表示させまして、電話相談の利用を促したということでございます。
今度3月に同じようにLINEによる相談を行いますけれども、相談員をもっと拡充して対応したいと考えております。
3. 静岡県農業の持続的発展について
【大 石】
県内の農業就業者は高齢化が進み、販売農家数は約4割も減少している。平成24年度には、5,118haだった県内の荒廃農地が、その後の5年間で約2割増加して6,000haを超している。
本県の農業を持続的に発展させて行くためには、農地中間管理事業を活用して農地を集積していくことと、担い手の世代交代の効果的な推進に向けて、意欲に満ちた若手農業者の確保・育成にも併せて取り組むことが重要である。
折しも県は、農林大学校の専門職大学への移行に取り組んでおり、県は専門職大学において、どのような若い人材を育成していくのか伺う。また、農地中間管理事業は開始から5年が経過し、国による見直しが進められていると聞くが、本事業を活用した農地集積の推進に今後どのように取り組んでいくのか伺う。
【知 事】
大石哲司議員にお答えいたします。静岡県農業の持続的発展についてであります。
本県農業の競争力を強化し、持続的な発展を遂げていくためには、議員御指摘のとおり、「次代を支える人材の育成」と「担い手への農地集積」が極めて重要であると認識しております。
「人材の育成」につきましては、2020年の4月の開学を目指し、仮称でありますが「静岡県立農林環境専門職大学」の整備を進めております。
この専門職大学で育成する若い人材像といたしましては、生産技術に加え、加工・流通・販売の知識、さらに先端技術への対応能力の開発を目指します。それとともに、農林業経営に革新を起こす意欲に溢れた若手農林業者の育成に取り組むつもりでおります。あわせまして、農業・林業は自然や地域社会と密接に結び付いた産業でありますことから、地域社会における将来のリーダーとして、美しい農山村の景観や環境を磨き上げるとともに、地域の文化や伝統を守り育むことができる人材を育成してまいります。
「農地集積」につきましては、農地中間管理事業を積極的に活用いたします。
平成26年度の事業開始から平成29年度までの4年間で、新たに1,625haの農地が担い手に集積されました。今後、農地集積をより円滑に推進していくためには、大きく二つの課題があります。
第一の課題は、農地の受け手と出し手の合意形成であります。
県では、農地中間管理機構をはじめ、市町、農業委員会、JAと連携して、地域ごとに話し合いの場を設け、概ね5年後の農地集積の設計図となる「人・農地プラン」の策定を支援しております。今後は、このプランを実践する形で、農地集積を着実に進めます。
第二の課題は、基盤整備における農業者の費用負担であります。
そこで、本年度から、農地中間管理機構が借り入れた農地を対象に、基盤整備地の8割以上を担い手に集積・集約化することを条件として、農業者に費用負担を求めずに区間整理や農用地造成の実施が可能となりました。この新制度を積極的に活用いたしまして、農地集積を加速してまいります。
また、中長期的な計画でありますけれど、例えば、本会議長渥美先生は、大きな敷地で、みかん、柿等々を栽培されております。お子様はそれらを見られています。
私は、多くの方々が、俸給で生活するサラリーマンになっておりますので、サラリーマンは農業で自立するのではなくて、自分の土地ではなくても、遊休地などをお借りする、つまり、小作をして、サラリーマン小作というものを進めたいと考えております。特に学校の先生に、それをお願いしたい。それは子供が見ているからであります。
そうした中で、これは別に商売ばかりではありませんので、農を楽しむ、そういう少年少女が出て来やすくなるだろうと、そうした中から本気で農業をやる、あるいは、第1次産業に従事する少年少女が出てくれば、それを農業に係ることだと、あるいは専門職大学などでしっかり鍛えられまして、次代に育っていくと思います。
日本は自作農創設を専門にいたしました。小作は悪いとされてきましたが、どんどん多くの方々がいわゆる兼業農家になられて、サラリーマン所得の方が農業所得よりも多い、いわゆる第2種兼業農家の方が圧倒的であります。そのさらに向こうに農業をついにやめてしまう、単にサラリーマンとしての生活になってしまいます。時々は持っている農地に対して、若干の自作ということはできますが。その先に我々はいるので、そうしたことから逆進いたしまして、サラリーマン小作というものを静岡県から始められたらどうかという風に考えております。
ともあれ、県といたしましては、「人材育成」と「農地集積」に、これまで以上に注力することによりまして、経営発展に意欲的な若手農業者を育成し、こうした若手農業者への農地集積が進むといった好循環を生み出す環境を整えて、本県農業の持続的な発展につなげてまいります。
4. インフラの適切な保全に向けた技術的な支援について
【大 石】
高度経済成長期に集中的に建設された社会インフラの多くは、建設後50年以上が経過し、老朽化が深刻な社会問題となっている。
先日の新聞報道によれば、早期に対策を講ずべきだとされた施設は682箇所にも上った。これらの約7割は市や町の管理に係る施設であった。
人材や技術力の不足する市や町に対して、県が市や町の技術力の向上について、積極的に支援していくことが重要であると考えるが、市や町の社会インフラを適切に保全していくため、県は市や町をどのように支援していくのか伺う。
【交通基盤部長】
インフラの適切な保全に向けた技術的な支援についてお答えいたします。
昨年度国土交通省が実施したインフラメンテナンスに関するアンケート結果によりますと、多くの市町におきまして、老朽化が進む社会インフラを適切に維持管理していく上で、技術力のレベルアップや土木技術職員の不足が大きな課題となっております。
このため、県では、市町職員の技術力の向上に向けて、様々な技術研修を実施しており、特に課題となっている橋梁の長寿命化につきましては、補修工法の選定研修や、県が管理する橋梁において点検実習等を実施してまいりました。今年度は、研修の充実を図るため、名古屋大学と連携し、様々な劣化や損傷状況に応じた補修設計等の技術を習得する研修を新たに実施しております。
また、各土木事務所に市町連携担当を設け、技術的な相談に対応するとともに、平成29年に発注者支援機関に認定された一般社団法人「ふじのくにづくり支援センター」では、橋梁点検や発注業務等における技術支援を行うこととしております。
県といたしましては、市町の管理する社会インフラが適切に保全されるよう、研修の更なる充実を図るとともに、ふじのくにづくり支援センターの活用を促すなど、引き続き市町の技術支援に努めてまいります。
5. 河川の整備について
(1) 安間川遊水地整備事業
【大 石】
浜松市を流れる安間川では、昨年6月と10月の豪雨時には氾濫危険水位を超過し、東区や南区の住民に避難勧告が発令された。
昨年度に遊水地に洪水を溜めることが可能となり、洪水被害が今までより減少し、地域の安全性や安心感が高まるとの声も伺っている。
遊水地は、大雨時には洪水を溜めるという遊水地としての治水機能が確実に発揮されることを期待するが、多目的広場の利活用は、地域の皆様が期待を寄せられている。
安間川遊水地に出来る多目的広場は、はるかに面積が広く、アクセスもしやすいので、地域の皆様に愛される憩いの広場となるものと期待される。
今後、どのように整備を進めていくのか県の方針を伺う。
【交通基盤部長】
次に、河川の整備についてのうち、安間川遊水地整備事業についてであります。
浜松市東部を流れる安間川流域では、都市化の進展に伴い度々浸水被害が発生しておりますことから、県ではおおむね10年に一度の大雨による洪水から床上浸水被害を防止するため、長上地区に約6.6haの遊水地の整備を行っております。
本年5月に暫定供用を開始した遊水地の治水機能により、本年6月の豪雨では、昨年6月の豪雨と同規模の雨量を観測しましたが、氾濫危険水位を超えることはなく、水位低減効果が確認をされました。引き続き、遊水地の貯留量を確保するため、更なる掘削工事を行うとともに、平常時に利活用が可能な区域の基盤整備に取り組んでまいります。
遊水地の利活用につきましては、自治会やPTAなど地元関係者で構成する検討協議会が本年10月に設立され、平成23年度に取りまとめられた計画案をベースとして、誰もが自由に安全に利用できる整備計画づくりに着手したところであり、本年度中の計画策定を目指しております。県は、浜松市とともに、計画策定作業が円滑に進められるよう協議会の活動を支援してまいります。
県といたしましては、安間川遊水地の治水機能を最大限に発揮させるとともに、水と緑の貴重なオープンスペースとして地域の皆様に愛されるよう、検討協議会の計画に基づく基盤整備を進め、安全、安心で潤いのある地域づくりを進めてまいります。
(2) 豪雨時の水位情報の提供
【大 石】
台風24号は、本年9月30日から10月1日にかけて本県に最接近し、本県では人的な被害はなかったが、トタンやビニール等の飛来物や倒木の影響等により、広範囲かつ長期にわたる停電が発生した。
安間川の市野橋水位観測所の水位情報が、インターネットサイトで確認出来なくなった。私たちは、安全な場所への避難が必要であるかどうか、判断につながる災害リスク情報を、確実に受け取ることは非常に大切である。
さらに、洪水によって水位観測所が水没して、機能しなくなることも見込まれる。
そこで、豪雨時の水位情報の提供を確実に継続する対応策について伺う。
【交通基盤部長】
次に、豪雨時の水位情報の提供についてであります。
県では、主要な県管理河川156か所に水位計を設置し、観測データを県のサイポスレーダーをはじめ、国や気象台等の情報サイトを通じて県民の皆様へ提供しております。また、水位計及び通信装置は、バッテリーを備えており、停電時でも半日程度は機能を維持することが可能であります。
先般の台風24号による停電の際には、サイポスレーダーによる情報提供は継続できましたが、外部の情報サイトには、バッテリーに切り替わった水位計の観測データを提供しない設定にしていたことから、当該箇所の水位情報を見ることができない状況が発生いたしました。このため、現在、外部の情報サイトへのデータ提供に関するシステム等の見直しを進めているところであります。
また、最大規模の降雨を想定した氾濫シミュレーションの結果から、浸水のおそれがある水位観測所が5か所確認されました。このため、観測機器の移設や耐水化等の対策を検討し、来年度から実施してまいります。
県といたしましては、県民の皆様が避難等を判断するための水位情報の提供は極めて重要でありますことから、停電にも強い危機管理型の水位計を本年度中に105河川に設置することを含め、水位の監視体制を維持・強化し、水害リスク情報の確実な提供に努めてまいります。
6. 本県におけるストーカー犯罪の現状と県警察の対応について
【大 石】
11月1日、ストーカーによる警告を受けていた男性が、相手女性を殺害するという事件が、浜松市内で発生いたしました。
ストーカーになる人の多くは、自分に自信があって、自己愛が強いと言われています。重大凶悪事件に行き着いてしまうといわれています。
本県におけるストーカー事案の認知件数は、ここ数年、年間500~600件程度発生していますが、ストーカー事案のほとんどは大きな事件になる前に、適切に対処されている。
それだけに、浜松市内で発生した事案は、本当に残念な結果となってしまった。
本県におけるストーカー犯罪の現状と警察の対応について伺います。
【警察本部長】
本県におけるストーカー犯罪の現状と県警察の対応についてお答いたします。
はじめに、本県におけるストーカー犯罪の現状についてであります。
本年10月末現在、ストーカー事案を認知した件数は331件で、前年同期と比べ91件減少しております。
また、ストーカー行為者による暴行や傷害、ストーカー規制法違反等の検挙件数は57件で、前年同期と比べ24件減少しており、書面警告や禁止命令などの行政手続き件数は97件で、前年同期と比べ33件減少しております。
次に、ストーカー犯罪に対する警察の対応についてであります。
ストーカー事案については、認知の段階では軽微な罪状しか認められない場合であっても、事態が急展開して重大事件に発展するおそれがあり、事案認知から的確な対応が求められます。
そこで、本県警察では、平成27年4月にストーカーや配偶者等からの暴力、児童虐待などの人身安全関連事案への対処体制を強化するため、人身安全対策課を新設し、24時間体制で相談者の安全確保や行為者への指導・警告や禁止命令を行っているほか、必要な場合には検挙措置をとっております。
ストーカー事案に対しては、引き続き相談者の生命、身体の安全確保を最優先として対応してまいります。